2020年には東京オリンピックが開催されますが、それにあたって問題となっていることのひとつに、近年、夏の東京で頻繁に発生する異常高温があります。
スポーツの祭典を炎天下で行う際、選手はもちろんのこと、それを応援する観客の「熱中症」にどのように対応していくか……わたしは今朝のテレビのニュースで、「打ち水」という「古典的」な方法が、その対応策のひとつとして考えられる、というものを見ました。
東京都知事が「打ち水」のイベントに参加したというニュース、みなさんもご覧になったでしょうか。これを見ていてわたしが気になったのは、「打ち水」が「古典的」って、そもそもどのくらいの「歴史」があるのか?ということです。今回はそれを、少し調べてみました。
「日本的」タイムマシーン3択クイズ!!
夏の暑い地面に水をまくことで涼を得ようとする「打ち水」。
この科学的な原理は、「気化熱」の理論により説明することができます。地面にまかれた水が蒸発するとき、蒸発と同時に水は、地面から熱を奪うのです。
しかし、そうした科学的な話よりもまず、「見た目」が涼しい、というのがなんとも「日本的」だと、わたしは感じます。東京オリンピックを見るためにやってくる外国人のみなさんにも、この日本的な情景が、印象に残ってくれたらうれしい、と思うのです。
こうした、現代日本人であるわたしたちが、「日本的」だなあ、と感じる文化の歴史を調べるためにタイムマシンにのると、日本の長い歴史の中で、たいてい3つのポイントのどれかに到着する、ということは、調べものをするときにはやく答えが見つかる知識なので、少し寄り道をして紹介しておきます。この3つを現代に近いほうから紹介すると、
(1)江戸時代の町人文化に起源がある場合
(2)室町時代の茶の湯文化に起源がある場合
(3)平安時代の国風文化に起源がある場合
ということになります。わたしは、「日本的」あるいは「和風」といったものごとの歴史を調べるとき、この3箇所に立ち寄って観察をしてみることにしています。
たいていそのどこかに、「日本的」なものの起源があることが多いのです。みなさんも覚えておいて損はない情報だと思います!
そして、きょうの話題の「打ち水」のはじまりも、この3つのどこかにありました。3択のクイズにしてみましょうか?答えを心の中で決めてから、次に進んでみてください!!
「打ち水」のはじまりは……??
科学的な効果に加えて、そこには「様式美」がある「打ち水」……これが3択クイズのヒントということだったかもしれませんが……正解は2番!
室町時代に千利休によって体系化された「茶の湯」のマナーのなかで、お客様を茶室に招き入れる前に地面を清める「打ち水」が決まりになっていった、ということになります。
そして、3番を選んだみなさんは「サンカク」です! 茶の湯によって季節に関係なくルール化された「打ち水」、の実際に夏場「涼しい」という「効果」に着目したのは、江戸時代の町人たちだったといいます。
古典落語に「天災」という噺がありますが、この落語に描かれる江戸の町人の生活のなかでも、噺が展開していく前、本題である「天災」に対する、「人災」の代表例として、「打ち水が足元にかかる」というちょっとした「事件」が扱われています。
「打ち水」をする見た目と実際の「涼しさ」に加えて、「打ち水」を通りかかりの人にかけないようにする「こころくばり」にも、日本的な「おもてなし」はあらわすことができるのではないでしょうか?
まとめ
東京の繁華街を午前中に歩くと、ゴミを回収したあとの地面をホースで洗っている場面をよく見かけますが、あれも「打ち水」の一種でしょうかね?先日、掃除をする若者とスーツを着たおじさんが、足元が濡れた濡れないで揉めていたのを思い出しました……。
きょうは「打ち水」の歴史をまとめてみたのですが、この「日本的」な文化には、その実際の効果以上に、「様式美」や「こころくばり」の美しさがあること、に改めて気づいたこと、をきょうのまとめとしておきたいと思います。
(おわり)
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