ビジネスの場面においてメールは、書き方ひとつで次の展開がいかようにも変わる魔法の杖と言えます。メールの書き方には敬語、挨拶、結語などなどさまざまな側面がありますが、今回取り上げるのは次の3点です。
○メールアドレスの取り扱い
○ 宛先(TO、CC、BCC)の使い分け
○返信の「要・不要」判断
いまさら聞けないビジネスメールの超基本事項をここで確認してみましょう。
結論だけを先に述べてしまえば、CCで届いたメールには、重要な案件出ない限り返信は不要、ということになります。
メール宛先の基本
ビジネスメールで重要なことは、メールソフトの白い枠の中に置くべき言葉を置く、ということに尽きます。メールソフトはただの白紙ではなく枠がわかれているというごく当然のことをまず意識しましょう。
そのとき「件名」「本文」といった各枠の上にまずあるのが、「TO」「CC」「BCC」という3つの宛先の白い枠になります。これらの枠には、メールを送りたい相手のメールアドレスを打ち込む、もしくはメールソフトのアドレス帳から宛先を選択するということも多いかもしれません。
「TO」「CC」「BCC」のそれぞれに複数人を指定する場合、メールアドレスを直接打ち込む場合は、各人のアドレスを「,」(カンマ)か「;」(セミコロン)で区切ります。
この際アドレスを書き込む順序を「本文」の最初で書く宛名の順序にあわせ、社外→社内役職順とすることは重要です。どの順序で打ち込んだところで本文は同じように全員に届きますがメールを読む人はどこに反応するかわかりません。
宛名の順序が2種類あることは深読みを誘発する要素です。
思わぬ誤解を生み「失礼な奴」と思われないことがビジネスにおいてはまず大切なのです。
またアドレス帳からアドレスを選択する場合、アドレス帳に登録した名前がそのまま届いていることも意識すべきです。
つまり「田中部長」のアドレスを、アドレス帳に「ぶーちゃん」と登録してある時「田中部長」のところには「ぶーちゃん」という言葉がまず目に入る形でメールが届きます。その下の本文がいくら「田中部長様」とはじまっていたとしてもです。
すなわち、私のおすすめはアドレス帳の名前の登録を全て様付けにしておくこと。
社外、社内を問わず後輩まで含めて全員に様をつけておきしょう。これも「アイツには様がついてんのにオレには様つけてねえのな」的な妙なひがみを生まないための作戦です。
このようにビジネスメールは、敬語や文章内容以前の細部から、その戦いが始まっているものと肝に銘じてください。
宛先3枠の使い分け
メールを読んでほしい相手のアドレスを「TO」「CC」「BCC」のどこに入れてもメールはその相手に届きます。ではこの3枠をどのように使いわけたらよいのか。
これについても考えるべきは、届いた相手の画面にはどのように表示され相手はどう思う可能性があるか、ということです。
「TO」は直接の宛先、メールを伝えたい当事者
「TO」はそのまま英語の前置詞「to」(~さんへ)になります。メールを送りたい当事者の宛先を入力しましょう。
宛先が複数になるときは、社外→社内役職順に入力することに注意しましょう。
「CC」は英語「Carbon Copy」(カーボンコピー)の略語
カーボンコピーとは何かといえば、たとえば「領収書」など複数枚つづりの書類で、一番上に記入すると下に文字がうつるものがあります。あれが本来の「カーボン紙」を使った「コピー」です。
簡単に言えば、参考としてご覧ください。程度の意味合いです
あれのメール版が「CC」というイメージをしっかり持って使うことが重要。つまり、この人は「TO」ではなく「CC」なのだ、と判断するポイントは次の2点といえます。
1.話の「当事者」ではないが、会話の内容情報などを共有しておきたい「関係者」
「私」がメールを送った時「TO」と「CC」の受信者は全員、「私」が誰を「TO」とし、誰を「CC」としているかを把握できます。自分が「TO」で受け取ったのか「CC」で受け取ったのかもわかる状態である、という仕組みをまず理解しましょう。
「TO」「CC」の全員が一同に会してメールの本題に関する【会議】を開くイメージで、「TO=当事者」と「CC=関係者」を振り分けます。
2.複写のカーボン文字のペナペナの紙であっても問題ない
「CC」は入れておけば便利といった感じで、発言の担保とりや責任の所在の強調などの形で使われることも多いですが、乱発すると相手の受信メールが増えてときに相手が迷惑に感じることもあるという可能性は常に考えていてください。
そこで大事なのが「CC」があくまでもあの「カーボンコピー」のペナペナの複写紙だということです。
本当のキレイな書類ではないあの紙をつきつけるに失礼と思われる目上の相手を「CC」に入れるときには、本当に【会議】の座組みが適当かどうかをいちど考える必要があります。
内容を書き直して新しいメールの「TO」で伝えたほうが丁寧である場合、または【会議】メールを「転送」することによって【会議】の開催を報告するほうが丁寧である場合、が案外多く存在することは、あまり言われていませんがとても大事なことのはずです。
「BCC」は「Blind Carbon Copy」(ブラインドカーボンコピー)の略語
「BCC」に入れた相手にも同じメールの内容が届きますが、この時「TO」や「CC」の【会議】メンバーには「BCC」の存在は全く見えません。
また「BCC」に入った当人にしてみれば、自分の他の誰にメールが送られているのか自分だけなのかそれとも……といった情報が全く見えません。このような「ブラインド」を使うのはどういうときでしょうか。
1.メールマガジン的もしくはメアド変更のお知らせ的用法
メールを発信する「私」が同じ内容を伝えたい相手が多数いる時にはペナペナのカーボン紙であっても問題ないということがあり、またその全員がひとつの【会議】に顔を合わせるのは不自然というときに「BCC」が使えます。
このタイプの発信の場合、「本文」の最初の宛名に「村上様、五十嵐様、北野様…」と実際の名前を書いてしまってはブラインドの意味がなくなってしまうので、「関係各位」という言葉を使ったり、また本文のはじめにおいて「BCCにてお送りいたしております」と言明してしまうほうが丁寧でしょう。
またこのタイプの「BCC」の場合、本文の最後に「返信は不要です」という旨を言明できるケースも多いと思われます。返信は不要と思ったら「不要」と書いてしまったほうが親切です。それでも返信が必要と思う方はいた場合、必ず返信をしていただけます。
2.【会議】を影で見てほしい人へ
「BCC」は本来的にこのような用法を想定しているようには見えるのですがしかし、このように使うときには余程の注意が必要でしょう。
「BCC」で受け取った人間は自分が「BCC」に指定された結果としてこのメールが届いているということ自体を理解していません。
表示上「TO」と「BCC」には区別がなく「CC」が誰かいるのかいないのかもわからない状態です。本文の頭に自分の名前が書いていないのになぜこのメールが届いたんだ?という状態が発生したとき、ここから次の展開が急速に動き問題が発生するケースはさまざまに考えられるでしょう。
そこで【会議】を内緒で公開するこのケースでは事前に、できれば直接面と向かって「これから送る○○のメールをBCCで送りますのでご確認いただけますか?」と伝えておくのが一番無難で安全と言えます。
そしてこのような伝言をできない場合の「BCC」は極力避けて、やはり【会議】メール自体を「転送」する形を私はおすすめします。
CCに返信は必要?
このように自分がビジネスメールの発信者として、いろいろと考え、慣れてくると、自分が受け取った場合の返信が必要かどうかは自然にわかるようになっているはずです。
特に返信の必要性を迷うのは自分が「CC」に入っているものの場合でしょうが、この場合自分が「CC」に入れられた理由は何なのかを考え必要に応じて返信をするべきといえます。
会議の参加者的な意味合いから「全員へ返信」する必要がある場合というのは、ほとんどないでしょう。
「発信者のみへの返信」により情報の受領確認を伝えること、または【会議】を見学させてもらえたことへのお礼を伝えることが大半です。
ですから、返信しなくてもよい場合がほとんどです。
まとめ
ビジネスメールは「ビジネスという形式のなかでメールというコミュニケーションをしている」という視点が重要です。
このメールで相手はどう思うか、こう思ってほしいからこうする、という「コミュニケーション」の側面をまずは大切にしましょう。
そしてどんなコミュニケーションにも必ず、言葉にせずとも「形式」で図らずも伝わってしまうことがある、ということには十分注意してもらいたいと思います。
(おわり)
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