アレルギー性鼻炎は本当につらいですよね。たかが「鼻づまり」と思うかもしれませんが、集中力も低下しますし、常に鼻水が出るため、落ち着きません。
しかし、アレルギー性鼻炎と思っているその症状、本当にアレルギー性鼻炎ですか?蓄膿症や肥厚性鼻炎ではありませんか?鼻づまりが長い間治らない原因は大きく分けると3つあります。
① アレルギー性鼻炎
② 蓄膿症
③ 肥厚性鼻炎
今回はそんな「鼻づまり」の原因となる、3つ原因の症状や対処法について紹介します。
症状からチェック!
自分の鼻づまりの原因がどれに当てはまるかチェックしてみて下さい。アレルギー性鼻炎と思っていると、違う場合もあるかもしれません。
アレルギー性鼻炎の症状
• くしゃみが連続で出る
• サラサラ透明の鼻水
• 外出した時、決まった部屋に行くと症状が出る
• 目、ノドがかゆい
蓄膿症の症状
• 鼻水がドロドロ
• 鼻水が黄色、緑色
• 鼻水が臭い
• ひどい鼻づまりがある
肥厚性鼻炎の症状
• 両方の鼻がずっとつまっている
• 点鼻薬をよく使う
アレルギー性鼻炎や蓄膿症、肥厚性鼻炎の原因や対処法についてまとめておきます。しかし、個人での判断は危険ですので、きちんと専門医で診察されることをおすすめします。
アレルギー鼻炎とはどんな病気?
アレルギー性鼻炎は名前の通り、アレルギーによっておこる鼻の炎症です。
ハウスダスト、花粉、カビなどアレルゲンになるのは人それぞれ違うものです。
アレルギー性鼻炎の原因となる抗原のほとんどは、呼吸によって体内に入ってくる吸入性のものです。繰り返し抗原を吸い込むことでアレルギー反応が起き、鼻の不快な症状が現れます。
アレルギー性鼻炎の原因となる抗原のほとんどは、呼吸によって体内に入ってくる吸入性のものです。繰り返し抗原を吸い込むことでアレルギー反応が起き、鼻の不快な症状が現れます。
アレルギー性鼻炎の症状
アレルギー性鼻炎はカゼもひいていないのに、発作性のくしゃみ、鼻水、鼻づまりが起こるのが特徴です。
通常、これらの症状は朝夕に強く現れます。それは、これらが自律(じりつ)神経のバランスと深く関わっているからです。
自律神経には交感神経と副交感神経の2つがあり、両者がバランスよく働くことにより、私たちの体は健康を維持しています。しかし、朝夕にはそのバランスが崩れやすくなっています。
花粉症もアレルギー性鼻炎のひとつ
「花粉症」は、アレルギー性鼻炎を起こす原因(抗原)のひとつであるスギやヒノキなどの花粉を吸い込んでアレルギーを起こす病気です。
つまり、花粉症はアレルギー性鼻炎のひとつです。花粉が舞う季節だけ症状が出るため「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれます。
それ以外にも、季節にかかわりなく、1年を通じて症状が現れる「通年性アレルギー性鼻炎」があります。
通年性アレルギー性鼻炎の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど。一般に、花粉症ほど症状は強くありませんが、1年中症状が現れるため、患者さんにとっては、大きな負担となります。
アレルギー性鼻炎の時に家庭で出来る対処法
アレルギー性鼻炎になるかどうかは、その人自身の遺伝的な体質によるところが大きいため、完全に予防することは困難ですが、生活環境から原因となる抗原を取り除き、接触を避けることで症状を軽くできます。
例えば、ハウスダストが原因の場合には、こまめに換気・掃除をすることで症状を軽くすることが出来ます。
日常生活の中で注意を払うことで、アレルギー性鼻炎の症状を改善するとともに、発症を予防したり悪化を遅らせたりすることが可能ですので、原因物質の特定のためにも、早めに専門医を受診することをおすすめします。
蓄膿症はどんな病気?
蓄膿症の症状は、
• ドロッと粘り気のある鼻水が出る
• 鼻水が黄色っぽい
• 鼻水が緑色っぽい
• ひどい鼻づまりがある
などがあり、症状がなかなか改善しないことが特徴です。「蓄膿症」とは俗称で、正式には「慢性副鼻腔炎」と言います。
症状が悪化してくると鼻の奥につまった膿のため鼻水が嫌な臭いになったり、それがもとで口臭がきつくなる場合もあります。
さらに重症になると頬や目の奥、奥歯などに痛みが生じたり、頭痛に悩まされたりすることもあります。
蓄膿症の原因
蓄膿症は副鼻腔に炎症が生じることが原因です。
風邪や花粉症、アレルギー性鼻炎によって起きた鼻づまりがきっかけとなり副鼻腔炎を起こします。
この副鼻腔炎が長引いてしまうと、慢性化して蓄膿症に進行していくのです。 特に花粉やハウスダストなどが原因のアレルギー性鼻炎は鼻水や鼻づまりなどの症状が慢性化しやすいため、蓄膿症を併発するリスクが高くなります。
虫歯を長期間放置したり、歯周病が進行して化膿してしまったことが原因で蓄膿症になるケースもあります。特に上側の歯に虫歯があったり、インプラント治療を行った場合に鼻づまりが長引く症状が出たときには注意が必要です。
また、鼻中隔湾曲症といって鼻の真ん中を通る鼻中隔(びちゅうかく)が生まれつき曲がっていたり、成長につれ曲がってきたりすることが原因のケースもあります。蓄膿症を自力で完全に治してしまうのは、難しいです。
まずは本当に蓄膿症なのか専門医に診てもらうことが重要です。
蓄膿症の治療方法
耳鼻咽喉科を受診して蓄膿症と診断されると、抗生物質を使います。
鼻の奥で感染が起こっているので、原因菌をやっつけるためです。(蓄膿症は治りにくいため、1か月かけて抗生剤を飲むこともあります。)
そして、鼻水を出しやすくするための薬も処方されることが多いです。
また、ネブライザーという器機を使って薬液を副鼻腔内粘膜に送り込む通院治療も一般的です。
副鼻腔の炎症が強い場合は一時的にステロイド剤を使用することもあります。症状が重く改善が見込まれない場合、手術が必要になることもあります。
蓄膿症の時に自宅で出来ること
軽度であれば蓄膿症も治ることがあります。また、病院で治療中でも自宅で試してみても良いでしょう。
1つ目は鼻うがいです。
鼻から生理食塩水(0.9%の食塩水)を入れ、ほこりやウイルス、膿などを取り除く鼻うがいが効果的です。
ただし、鼻うがいはやりすぎると鼻の粘膜にダメージを与えるので1日1回程度を目安にします。
2つ目は免疫力を高めることです。
蓄膿症は鼻の奥で感染が起こっているため、免疫力を高めることは重要です。バランスの良い食事をするのが基本ですが、とくにおすすめなのが腸内環境を整えることです。
肥厚性鼻炎とはどんな病気?
あまり聞きなれないかもしれませんが、どんなことをしても鼻づまりが治らないなら肥厚性鼻炎になっているかもしれません。
鼻から息を吸い込んだ時、その空気が最初にぶつかる場所を下鼻甲介(かびこうかい)と言います。
その下鼻甲介の粘膜が炎症を起こして増殖・肥大する病気です。
肥厚性鼻炎の症状
肥厚性鼻炎とは慢性鼻炎の1種です。主な症状はひどい鼻づまりです。
この鼻づまりはいくら鼻をかんでも解消されないことや常に両方の鼻が同時に詰まってしまうことなどが特徴です。(アレルギー性鼻炎では、片方ずつ鼻づまりが起こることが多い)
後鼻漏(こうびろう)といって、鼻水が喉の奥へ落ちることで咳や痰などの症状がみられることもあります。
肥厚性鼻炎の原因
肥厚性鼻炎はいきなり発症することはまずありません。鼻炎が悪化して長引いてしまうことが原因です。
風邪やアレルギー性鼻炎などが慢性化することで粘膜組織が増殖、肥大してしまうためです。
ただの鼻水、鼻づまりだと軽く考えて長期間放置してしまうのは危険です。肥厚性鼻炎になってしまう可能性があるからです。
点鼻薬の乱用も肥厚性鼻炎の原因となります。点鼻薬には血管を収縮させる成分が入っているため即効性があり、鼻づまりがすぐに解消します。
長期間に渡り点鼻薬を繰り返し使用することで、鼻の粘膜が薬の刺激によって腫れたり、組織が変化したりして肥厚性鼻炎を発症してしまうことがあります。
肥厚性鼻炎の治し方
まず、市販の点鼻薬を使っている場合は使用を中止します。
初期の肥厚性鼻炎の場合は、まず投薬による治療を行いながら様子を見ていきます。ただ一度増殖、肥大してしまった粘膜組織は薬物治療だけではなかなか改善しないことが多いです。
薬物治療では治らない場合にはレーザー治療を行います。レーザー治療とはレーザーで鼻の粘膜を焼き、縮める治療です。
鼻の粘膜に麻酔をして行うので痛みもほとんどなく、10~15分程度で終わります。
レーザー治療の効果の持続は個人差がありますが1年から長い人だと3年ほど持続することもあります。
効果が薄れてきたら再度レーザー治療を行います。
1週間ほど、鼻が完全にふさがってしまいますが、副作用もほとんど無く、繰り返し受けることができることもメリットです。
重症で回復がなかなか見込まれない場合には下甲介粘膜切除術という手術が適応になる場合もあります。これは内視鏡を鼻に入れて厚く肥大した粘膜を削る手術です。
まとめ
今回はアレルギー性鼻炎という言葉で片付けてしまいがちな治らない「鼻づまり」について、症状や対処法などを紹介しました。
特に、鼻づまりが長引く場合には、以下のことに注意しておきましょう。
鼻炎を放置しない!
鼻水や鼻づまりは、ごく一般的な症状のため、「このぐらいならそのうち治る」「これはたいしたことはない」などと自己判断しがちです。
ただの鼻づまりぐらいで耳鼻科を受診しようとは思わない人も多いことでしょう。初期であれば治りも早い鼻炎ですが、悪化してしまうと慢性化し、肥厚性鼻炎などに移行する可能性があります。
たかが鼻づまりと軽く考えず、症状が長引くようであればなるべく早く耳鼻科を受診しましょう。
アレルギー症状は改善しておく
アレルギーが原因の鼻炎は長引くだけでなく、繰り返し慢性化する傾向があります。
アレルギー性鼻炎から肥厚性鼻炎を発症してしまうことが多いため、アレルギー症状をできるだけ抑えることが大切です。
何に対してアレルギー反応が起こるのか、その抗原を特定し排除する、薬物治療で上手にコントロールするなど、色々な方法があるので耳鼻科で相談してみましょう。
点鼻薬の乱用を避ける
点鼻薬は即効性があり、苦しい鼻づまりがサッと楽になるためついつい頼り過ぎてしまいがちです。
点鼻薬には血管収縮剤が使われていることが多いため、一時は楽になります。
しかし、根本的な解決策にはならないため、点鼻薬の使用は極力控え、早めに耳鼻科を受診しましょう。
長引いてしまう慢性的な鼻づまりの原因と解消法は分かったでしょうか。アレルギー性鼻炎だけが原因とは限りません。
① アレルギー性鼻炎
② 蓄膿症
③ 肥厚性鼻炎
この3つが鼻の中で引き起こされている可能性が高いです。
自分がどの原因で鼻がつまっているのかは、個人で判断せずに専門医に確認しておくべきです。ちょっとした病気でも集中力の低下や睡眠不足の原因になりますので、早めに治療しましょう。
(おわり)
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